☆目次☆
はじめに｜ラフテーとはどんな料理？
沖縄旅行や郷土料理のお店でよく目にする「ラフテー」。
豚の三枚肉（バラ肉）を柔らかく煮込んだ、沖縄の定番料理のひとつです。
甘辛く、ぷるぷるとした脂身と、とろけるような肉の食感が特徴で、一度食べたら忘れられない美味しさがあります。
実はラフテーは、単なる家庭料理ではなく、琉球王朝の時代から続く歴史ある料理です。
この記事では、その長い歴史や誕生の背景、現在のラフテー文化まで、詳しくご紹介します。
ラフテーの起源は琉球王朝時代にあり
王朝料理としてのラフテー
ラフテーの歴史は琉球王国（1429年〜1879年）の時代にさかのぼります。
当時の琉球は、中国・朝鮮・東南アジア・日本など、さまざまな国と交易を行う国際色豊かな貿易国家でした。
そのため食文化も多彩で、中国料理や日本料理の影響を大きく受けていました。
その中でも豚肉料理は、王族や貴族が行う宮廷料理の中で特に重要な位置を占めていました。
ラフテーもまた、祝宴や客人をもてなす際にふるまわれる高級料理の一つだったとされています。
琉球王朝時代の文献にも、豚の角煮料理に近い記述が残っており、宮廷料理として長く受け継がれてきたことがわかります。
豚肉文化の発展
沖縄では古くから「鳴き声以外はすべて食べる」と言われるほど、豚肉を余すところなく活用してきました。
豚足（てびち）、中身汁、ミミガー（豚の耳皮）、そしてラフテーなど、あらゆる部位を活かした料理が生まれました。
中でもラフテーは、皮付きの三枚肉を使い、脂の旨味と柔らかさを存分に引き出す調理法が特徴です。
皮の部分には豊富なコラーゲンが含まれており、美容や健康の面でも注目されています。
中国文化との深い関わり
東坡肉（トンポーロウ）の影響
ラフテーのルーツには、中国の「東坡肉（トンポーロウ）」という料理が深く関係しています。
東坡肉は、皮付きの豚バラ肉をじっくりと煮込み、砂糖や醤油、紹興酒などで甘辛く仕上げる中国の代表的な煮込み料理です。
琉球王朝は明・清王朝との朝貢関係を持っており、使節団の派遣や文化交流が盛んに行われていました。
その過程で東坡肉の調理法が琉球にも伝わり、沖縄の食材と融合してラフテーとして発展していったと考えられています。
泡盛という独自のアレンジ
沖縄独自のアレンジとして加えられたのが、地元のお酒「泡盛」です。
泡盛を加えて煮込むことで、豚肉の臭みが取れ、より柔らかく、深いコクのある味わいになります。
この技法は今でも多くの家庭や飲食店で受け継がれています。
沖縄の家庭料理としてのラフテー
王朝料理から家庭の定番へ
琉球王朝の崩壊後、宮廷料理の技法は料理人や家庭に広がっていきました。
かつて王族だけの料理だったラフテーも、やがて一般家庭でも作られるようになり、今では沖縄の「おふくろの味」として親しまれています。
特にお正月や法事、誕生日、旧盆などのハレの日には、今でもラフテーが食卓に並ぶ光景がよく見られます。
家ごとに味付けや煮込み方に個性があり、まさに各家庭の伝統料理となっています。
調理法の特徴
家庭で作るラフテーの基本的な作り方は以下の通りです。
①皮付き三枚肉を下ゆでしてアクや脂を落とす
②砂糖、泡盛、黒糖、醤油、みりんを使ってじっくり煮込む
③弱火で何時間も煮込むことで柔らかくとろける食感に仕上げる
泡盛や黒糖を使うことで独特の風味とまろやかさが生まれ、家庭ごとに微妙な違いが出るのもラフテーの楽しさのひとつです。
観光でも人気！現代のラフテー事情
沖縄観光グルメの定番に
今では沖縄旅行に訪れた観光客にとっても、ラフテーは「絶対食べたい料理」のひとつです。
居酒屋や郷土料理店では、定番メニューとして必ずと言っていいほど提供されています。
甘じょっぱい味付けと、とろけるような口当たりは、観光客の舌をとりこにします。
お酒との相性も抜群で、オリオンビールや泡盛と合わせて楽しむ人も多いです。
土産物としても進化
近年は、真空パックやレトルトのラフテー商品も多数販売され、沖縄土産の定番になっています。
家庭でも手軽に本場の味が再現できる商品が増えたことで、県外でも沖縄の味を楽しむ人が増えています。
ラフテーにまつわる豆知識
実は「角煮」とは違う？
よくラフテーは「沖縄風角煮」と表現されますが、正確には少し違いがあります。
角煮（本州）：主に皮を剥いだ豚バラ肉を使い、しょうが・酒・砂糖・醤油などで煮込む
ラフテー（沖縄）：皮付き三枚肉を使い、泡盛・黒糖・醤油でじっくり煮込む
この皮付きで作る点と泡盛を使う点が、ラフテー最大の特徴です。
名前の由来は？
「ラフテー」という呼び名は、実は中国語の「ラーパーティー（腊八体）」から転じたとも、一説には琉球方言で「柔らかい煮物」を意味する言葉から来たとも言われています。
正確な語源ははっきりしていませんが、いずれにせよ中国との深いつながりが感じられます。
まとめ｜ラフテーは琉球文化の味そのもの
沖縄ラフテーは、単なる豚の煮込み料理ではありません。
その背景には琉球王朝の長い歴史、中国文化との交流、そして沖縄の暮らしに根付いた豚肉文化がしっかりと息づいています。
今も変わらず多くの家庭や飲食店で愛され続けるラフテーは、沖縄の「食文化の象徴」ともいえる存在です。
沖縄に訪れた際は、ぜひ本場のラフテーを一度味わってみてください。
その一口には、沖縄の歴史と人々の暮らしがぎゅっと詰まっていますよ。
